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徒歩旅行

徒歩旅行
『暮らしの手帖』の別冊『徒歩旅行』がとてもよかったです。
いわゆる観光地として賑わっている場所でなく、普通の暮らしのある町を
静かに旅する感じ。

下駄屋さん、和菓子屋さん、ボタン屋さんに布団屋さん。
駅、教会、食堂、喫茶店。
どこも私の住んでいる町にある(あるいはあった)ような風景が
広がっているのです。

これが人の暮らす町なんだなあって思う。作り物でない感じ。
ここの朝もやや夕暮れを見てみたい…そう思える町がたくさんありました。

町の紹介ページの間のエッセイもよかったし、“捨てられないよ包装紙”の
ページも好き。
旅で買ったおみやげを包んだ紙が四角くズラリと並んでいるのです。
どれも味のあるデザインで、私だって捨てたくないよ、と思いました。 

不思議を売る男

エイルサが図書館で出会った不思議な男、MCC・バークシャーは、
エイルサの母が営む古道具屋で働くようになり、お店の道具にまつわる
話を客に聞かせる。
誰もが彼のお話のおもしろさに魅せられ、大時計、ハープシコード、
文具箱などの品物を買っていく。
 不思議を売る男 
こんな内容なのですが、品物の由来である一つ一つのお話がどれも
素晴らしい短編で、お客やエイルサ母娘はもちろん、私たちもぐぐっと
引き込まれてしまいます。
お話の中のお話。
そして最終章ではあっと驚くMCCの秘密が明かされるのです。
一瞬頭が混乱しそうになるくらい不思議で、ちょっと寂しくて、
でも温かい結末。

息子に読み聞かせながら、たっぷり2週間ともに楽しめた本でした。
物語の中、
品物についてまことしやかに語るMCCにエイルサの母ポーベイ夫人が
「あなたの言っていることは嘘でしょ」と言います。
MCCは「ぼくがしたのは嘘ではなく“お話”なんですよ。お話、これこそ
みんなが求めているものなんです」と答えます。

彼の言うことがわかります。
人は生きていくために“お話”が必要なのだと。
亡くなった人を想いながら、
おばあちゃん、今頃は天国で先に逝ったおじいちゃんと仲良く話しているだろうね…
あの子は優しいから、私にこれ以上世話をかけないように逝ってしまったのかな…
人は自分でも気づかぬうちに物語を作り続けるのです。
苦しみや悲しみの中にいるときも、
そこから再び歩き出すときにも、
人には物語が、お話が必要なのでしょう。

今は特に、多くの人が“お話”を求めているときかも知れません。

みかんのむきかた

少し前に、おもしろそうと思って手に取った本です。
みかんのむきかた
『あたらしいみかんのむきかた』
ふむふむ、ページをめくると、ねずみ、うし、とら、うさぎ…
と、干支を中心にいろいろな動物のむきかたが写真と
解説付きで載っています。

登場するのは“むきおくん”
「ぼく、むくよ」ときっぱりと言い放ち、難しい技に挑戦していきます。
しばらくすると妹の“むきみちゃん”が「じゃ、私も」と加わり、
思いのほか高度な動物をあっさりとむいてしまいます。
“むきおくん”は闘志を燃やし、さらに難しいものに取りかかる…といった流れに
なっているのです。

「ぽく、むくよ」と言うむきおくんに対し、「むきお、あなたむくのね」と答えるおかあさん。
この会話。この絵の表情。思わず笑えます。
そしてやはりむきたくなります。

当然のごとく、わがやの“むきお”も準備を始めました。
ウマ下書き
下書きをして、ていねいにむいていきます。

しばらくののち、ウマが完成しました。うほほ、おもしろい。
ウマ完成
これからの季節、出回るみかんは夏みかんなど、皮が厚くなるので
難しいかも知れません。
でも、中には“へび”のような、わりあい簡単なのも載ってますから、
興味のある人は試してみてくださいね。 

respect

大学ラグビー日本一に輝いた帝京大学の監督の書かれた本を読みました。
帝京スポーツメソッド
ラグビーとかスポーツの世界のこと、私は詳しくないし
よくわからないのですが、読んでいて、チームを育てることは
子育てと同じだと感じることが多かったです。
勝つためのテクニックよりも、どのように人を育てるかに
重きを置いているのですね。

特に、何度もリスペクトという言葉が出てくるのが印象的でした。
respect は、尊敬する、尊重する、という意味。
指導はリスペクトすることから始まるというのです。

“学生の主体性をリスペクトする”
“4年生の選択をリスペクトする”
“問題のある子をリスペクトする”

まだまだたくさんありますが…
指導者は部員を(親は子どもを)、ひとりの人間として認め、尊重し、そのうえで
他人を思いやり、他人のことに心を砕き、まじめに打ち込むことの大切さを知る
人に育てていく。 まさにその通りです。

スポーツとは関係なく過ごしている人にも、子育て中のおかあさんにも
参考になるなと思いました。

贖罪

湊かなえさんの『贖罪』を読みました。
贖罪
ああ、やっぱりググンッと引き込まれてしまう。
読むのを止めるのが難しいです。

贖罪とは犠牲や代償を払って自らの罪を償うという意味ですが、
この物語で事件に巻き込まれた女の子たちは誰も
それほどの大きな罪を犯したとは思えません。
さらに、事件の原因を作ってしまった麻子さんでさえ、
そんなにも恨まれるような酷いことをしたとは思えないのです。

それに…
小学校4年生の女の子たちが、こんなにも物事を深く考えるのかしら??
これほど負の連鎖が起きるなんてありえない。
変態が多すぎ。
などと、
内容的には疑問に思うことや共感できないこともたくさんありますが、
でも、お話はおもしろい。
『告白』とよく似た感じではありますけどね。 

阪急電車

通勤や通学で電車を利用した経験がないのですが、この本を読むと
そういうのもちょっといいなあと思いました。
阪急電車
それぞれの人生を生きているたくさんの人たちが
電車という限られた空間の中にいて、
出会ったり、別れたり、新しい道を歩き始めたり…。
ひと駅、ひと駅、進みながら何人かの人たちが
その人生を交錯させていくお話です。

電車でこんなふうに簡単に他人に話しかけられるのかなあ、
と思う部分もありますが、でもありえないことでもないかも。
人って、ひとりひとりがドラマを持っているものですもんね。
ちょっとしたきっかけで、それが絡み合っていくということも
現実にあるかも知れません。
電車の中で恋が始まるお話も微笑ましく感じました。

この本を貸してくれたご近所の奥さまは
「もう一回恋をしてみたくなったわー」と感想を漏らしてました。
子育ても一段落した主婦の本音? かな。

通学電車の中で芽生える恋。
そんなのもいいかも知れませんねー。 

すきま時間にサッと読みました。
瞬
バイクの事故で恋人を失った女性が二人の“最後 ”の記憶に
向き合うお話です。

心理描写や情景描写がとてもきれいで女性らしいなと感じました。
映画化されたようで、きっと映画は素敵だったのだろうと思います。

でも本は、あらすじが読めてしまうので「次どうなるの」というわくわく感が
ないのです。
恋人の何気ない仕草や言葉の中に「あ、こういう男の子、好き」と思う部分も
あるのですが、どうも感動には至らない。
このせつない恋心に共感するにはきっと私は年をとりすぎてるのでしょうね。

読書の秋

今月はたくさん本を読んでます。
あれと、これと…と数えてみると10冊ほど読んでました。
告白
中でも、湊かなえさんの『告白』はすごくおもしろかった。
中学1年生がこんなことを考えるのだろうか、こんなことをするのだろうか、
と思うと少し怖くなります。
それぞれの人物の語りで進められていく、書き方にもぐんぐん
引き込まれてしまいました。
夜行観覧車
続いて『夜行観覧車』も一気読みです。
ごくふつうの住宅街、ごくふつうの家庭に潜んだ問題が
あぶりだされていくお話。
家族が家族でであることの大変さ、愛おしさなどを
感じます。
こちらもおもしろい。

『告白』のほうがよかったと私は思いますが…。
 

『悪人』

話題の『悪人』を読みました。
悪人
恵まれない生い立ちの祐一が起こしてしまう殺人事件。
殺された佳乃、祐一を愛する光代、祐一の祖母、佳乃の父。
そのほか、多くの人が登場し、それぞれの視点で事件が描かれ
ながら物語が進みます。

祐一はたしかに悪人なのだけれど、純粋で不器用で、心優しい人なのです。
そんな人がちょっとしたハズミで、偶然の重なり合いで取り返しのつかない
状況に追い込まれていってしまう。
「もしこのときこうだったら」「こんなふうにすれば、言えばよかったのに」と
彼に味方したくなり、感情移入してしまいます。

けれど、殺されても仕方ないと思わせるような振る舞いで描かれている佳乃も、
父の視点で見るとかけがえのない娘。
祐一のやってしまったことは、罪です。

佳乃を車から蹴り落とす大学生、
祐一のおばあちゃんに高額な漢方薬を売りつける男、
被害者の家族に心無い言葉を投げつける人たちなどなど…
“悪”をまとった人がそこかしこに現れる。
悪とは、善とは、と考えさせられますが、視点が違うとそれが簡単に入れ替わり、
なんだかわからなくなってしまうのです。
でも、この作品は見えているものだけでは“わからないよ”と伝えたいのかもとも
思いました。
映画も観たくなりました。
 

交響曲第一番

大切な知人のおススメで佐村河内守さんのコンサートに行くことにしました。
さむらごうちまもる さん。被爆二世で全聾の作曲家です。
 交響曲第一番
コンサートで『交響曲第一番』を聴く前に彼の自伝を読みました。
正直、苦しかった。
死が安らぎに感じられるほどの過酷な運命、深い深い闇の中にいる人です。
神様はこの人に何をさせようとしているのだろう、と思いました。

闇の中にとどまり、そこから見えるわずかな希望の光を見出し、音楽として
紡ぎだす。そしてそれを人々に伝える、そうさせようとしているのでしょうか。

読み終わって、彼の作った音楽を聴くのが少しこわくもあります。
でも、期待もあります。

重くて辛かったけれど、本は読んでよかったと思います。
彼の音楽のメッセージを受け止めたい。
そして、彼が少しでも穏やかな時を過ごせますよう…と祈ります。