朗読の楽しみ

たなべる(田辺市文化交流センター)で『朗読の楽しみ』という催しがありました。

朗読グループ“さくらんぼ”さんによるものです。去年は行けませんでしたが、聴かせてもらうのは今回が2回め。

朗読を通して日本語を深く味わうことができる機会で、言葉の豊かさ、音の美しさなどを改めて感じました。

平日の昼間ですが、たくさんの人が来られていました。

自分があまり読まない分野の本でも耳で聴くと、ちょっと読んでみたいという気持ちになります。藤沢周平の小説など、「その続き、どうなるの?」ととても気になりました。

図書館でこういう催しがあるのは良いことです。朗読がきっかけで読書に興味を持つ人もいるでしょうし、図書館利用につながることもあるはずです。

たくさんの蔵書は人に読まれてこそ価値のあるもので、図書館は地域の文化的レベルを上げ、知恵を支える存在ですから。

 

それにしても3人とも本当に素敵な声。阿久悠詩集の中の「凛とした女の子におなりなさい」が、私は特に好きでした。

熊野古道の未来

「世界遺産 スペイン巡礼の道と熊野古道」の講演を聞いてきました。講師は前本宮館館長の鳥居泰治さんです。

サンティアゴ・デ・コンポステーラの道を歩いたお話を写真とともに紹介してくださいました。ユーモアたっぷりの楽しいお話です。

共通巡礼手帳にはスタンプがいっぱい。

熊野古道と両方を歩いた人は、古道の杉林の美しさ、ゴミがないことに感動をするのだそうです。

オーストラリアやスペインはもちろん、最近はタイやシンガポール、またフィンランドなど北欧から訪れる人も増えてきたとのこと。うれしいですね。

 

一方、食べるところや泊るところが少ないなどの課題もあります。

地元のおいしいものが食べられて、温泉に入れて、ゆっくり過ごせる場所を増やすこと。

また徒歩と自転車のルートがはっきりわかるような標識を作ったり、移送や荷物の搬送サービスを充実させたり、海外だけでなく国内の旅行者にもPRを強化したり…。

景観の保全とともにいろんなことを考えていけば、熊野古道はまだまだたくさんの人に来てもらえると思います。

 

石神さんにて

鳥羽市に行った時、相差(おうさつ)にある“石神さん”を訪れました。

ここは「女性の願いを1つだけ叶えてくれる」ということで有名だそうです。

どうしても行きたい!!という、友人の強い希望で、講演の後4人で行きました。

小さな神社ですが、パワースポットとして紹介されているらしく、たくさんの人が次々とやってきます。

私が気になったのは足元。神社の境内は砂利で車椅子で入れないところが多いのですが、ここは一部分このような石畳になっていて、奥まで楽に行くことができました。綺麗な多目的トイレも境内にあります。私は静かな気持ちでお参りして、お守りも買って大満足でした。

さて、

私のまち田辺市にある闘鶏神社はつい先日、世界遺産に追加登録されました。これからますます多くの人を迎えることになるでしょう。いろいろな人が来るのです。そう考えた時、車椅子でも杖やベビーカーでも歩きやすいような配慮が必要だと思います。

バリアフリー観光、ユニバーサルツーリズムという言葉も少しずつ浸透してきました。

闘鶏神社はもちろん周辺の整備にもぜひ、こういった視点を生かしてほしいと思います。

 

温かい配慮

先日訪れたギャラリーでのこと。

車を止め、入口に近づいて驚きました。「あっ、スロープを作ってくれている!!」

それほど高くはない段差でしたが、今までは誰かに手伝ってもらうことが多かったのです。

これで一人でも気軽に安全に入ることができます。

「昨日も車椅子の方が見えられてましたよ。」と主催者のおひとりが教えてくれました。

その時にオーナーさんが「こんなの、あるんやで〜」と言ってスロープを持ってきてくれたのだそうです。

いつの間に作ってくれていたのでしょうか。

私を含め何人かの車椅子の人が来るのを見て、スロープがあればいいなと思ってくれたのでしょうか。

温かい配慮に感激しました。また同時に、障害のある人がまちに出ることの大切さも感じました。

 

障害者差別解消法には合理的配慮という概念があります。合理的配慮をしないと差別になるということで、国の行政機関や地方公共団体などは義務(〜しなければならない)、民間事業者は努力義務(〜するよう努めなければならない)とされています。

法律にこの概念があるのは大きな進歩ですが、「法律があるから配慮する」のは何か違うと思います。

この人を喜ばせてあげたい、快適にしてあげたい、この人が困らないようにしてあげたい。そんな優しい思いやりの気持ちこそが大事なのです。そうしてこそ、法律は生き、そして広く受け入れられていくはずです。

温かい心遣いが胸に沁み、いろいろなことを考えた一日でした。

 

 

 

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